
もうすぐ春、と言いたいところですが、本格的に気温が上がって暖かくなるまでにはもうしばらくかかりそうですね。
毎年冬になりますと、お客様から、「オリーブオイルをよく見ると下の方に澱のようなものが見えますが・・・」「オリーブオイルが固まっているようですが、品質に問題ありませんか?」などなど、寒い時期特有の「お問い合わせ」。
まず、オリーブオイルに「何かがある!」と思われるのは、そこに沈む「澱(搾り滓)」の場合と、寒冷期の「結晶」。
前者の場合は、例えば、搾りたてをボトルに詰めた、無濾過のオリーブオイル。よく「ノヴェッロ入荷しました!」と街のショップやネットショップでも見かけることがあると思います。ノヴェッロが必ずしも濾過していないわけではありませんが、搾りたてをいち早く!という生産者さんの気持ちから、無濾過でボトル詰めする場合の方が多いようです。
オリーブオイルのノヴェッロは、ワインのボージョレヌーボーと同じように、お祭り的に、”新油”の誕生を祝う意味でもてはやされており、確かに搾りたての味、搾りたての美味しさを味わえる、わくわくする商品でもあります。
ただし気をつけなければいけないのは、まさにこの「澱」。澱は、オリーブの実の搾り滓ですが、これが、ノヴェッロオイルの特徴的なまろやかさや、青々しさを同時に醸し出すものであると共に、長くオリーブオイルと触れていることによって、オリーブオイルの劣化を早めてしまう曲者でもあります。
ですから、ノヴェッロを楽しめる時期はほんの少し。2か月ぐらいのうちに使い切ってしまいましょう。長い間「ノヴェッロ」といって販売している商品は、あまりお勧めできません。
さて、本題の、寒冷期(地)で見られる、オリーブオイルのボトルの下の結晶とは・・・
これは、オリーブオイルに含まれる、天然のワックス成分が固まったもの。オリーブ(他の果実もそうですが)は、自らの身を菌や酵母から守るため、また、自身の含有する水分が外に放出されるのを防ぐために皮の部分にワックスが含まれています。オリーブオイルは、皮も一緒に搾りますから、当然、オリーブオイルにもワックス分は含まれます。そして、このワックスは、10℃を下回ると、凝固し始めます。ですから、例えば、冷蔵庫に長い間入れてしまうと、逆さに振っても出てこない!という結果になってしまうのです。
では、固まってしまったらどうなるの? ご安心ください。ほとんど品質には問題ありません。固まってしまったらどうすればいいの?・・・室温(すこし温かいお部屋)に置いておくことで、ほとんどの場合は、もとの液状にもどります。決して湯せんにかけたりしないでくださいね。